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マウスの「クローンのクローン」、約20年・58世代で途絶える

マウスの「クローンのクローン」、約20年・58世代で途絶える

山梨大学の若山照彦教授らが約20年にわたりマウスのクローンからクローンを作り続ける実験を行い、58世代目で途絶えたことが報じられました。成功率は26世代まで上がり続けていましたが、その後は下がり続けました。

内容

どんな実験だったのか

クローン技術の先駆者として知られる若山照彦氏(現・山梨大学教授)は、2005年に1匹のメスのマウスからクローンを作りました。その後、生まれたクローンからさらにクローンを作る「再クローニング」を、理論上は無限に続けられるとされるなかで、どこまで続くのかを確かめる実験を始めました。

使われたのは「体細胞核移植」という方法です。提供する個体の細胞から核を取り出し、核を除いた未受精卵に入れてクローン胚を作ります。マウスは1年に最大4世代が生まれ、約20年で3万回を超える作成を試み、およそ1200匹のクローンが誕生しました。世代は合計58に達しました。

若山氏は、コピー機で絵をコピーし、そのコピーをさらにコピーすると画質が少しずつ落ちていくことを例に挙げ、同じことがクローンマウスでも起きるのかを調べようとしたと説明しています。成果は2026年3月24日付で学術誌「Nature Communications」に掲載されました。

成功率はどう変わったのか

ここでいう成功率は、代理母に移植したクローン胚のうち、実際にマウスとして生まれた割合です。第1世代は7%で、その後は世代を重ねるごとに上がり、26世代では15.5%になりました。

ところが27世代からは下がり始め、58世代では0.6%まで落ちました。この世代で生まれた5匹はすべて翌日に死に、再クローニングはここで途絶えました。報道は、クローンのクローンもやはり「鮮明さを失ったコピー」だったと伝えています。

なぜ途絶えたのか、まだ分かっていないこと

58世代で途絶えた具体的な原因が、染色体の末端の短縮なのか、エピジェネティックな異常なのかといった仕組みについては、現時点で明らかになっていません。26世代までの個体がすべて健康だったかどうかも、現時点で明らかになっていません。

クローン技術は生物の保全や農業で欠かせない道具になりつつあります。今回の研究は、この技術の限界や、絶滅が心配される種を守るうえでの意味を考える手がかりになるとされています。ただし、家畜や医療への応用に具体的にどう影響するかは、現時点で明らかになっていません。

注目ポイント

理論上は無限に続くと考えられていたクローン作りに、実際の限界が見えたという意外さが関心を集めています。成功率が途中まで上がっていたのに、後半で下がり続けたという経過も注目されています。約20年という長い時間をかけて1匹のマウスから続けた実験の規模に驚く声もあります。今後は、途絶えた原因の解明や、絶滅が心配される種の保全にどう生かされるかが焦点になります。

ネットでの反応

ネット上では、コピーを重ねるほど劣化する画像データや、何度も複製されたテープを思い出したという声が多く見られます。古いアニメ映画の中で、クローンの劣化をコピーにたとえた場面と重なると受け止める投稿も目立ちます。単細胞生物の分裂回数に限りがある話を連想した人もいます。

一方で、コピー機のたとえが適切かを問う意見もあります。変異は複製の手続きで生じるのではなく、核を取った個体が生きているあいだに体の細胞にたまっていくものではないか、という指摘です。クローンマウスには自然交配のマウスより多くの突然変異が見られたという投稿も広がっていますが、その内容は報道の本文では確認できていません。また、実験室では不利な変異を持つ個体がふるい落とされないため変異がたまりやすいのでは、複数の系統を並行して作らなかったのか、といった実験の条件に目を向ける声もあります。

参考記事

ランキング登場履歴

2026年10月20日 22時18位

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