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下水道をやめ家庭ごとの浄化槽へ、転換を検討する自治体が116に増加

下水道をやめ家庭ごとの浄化槽へ、転換を検討する自治体が116に増加

下水管や処理場で生活排水をまとめて処理する方式をやめ、各家庭の浄化槽で処理する方式への切り替えを検討する自治体が増えています。国の今年8月の調査では、32都道府県の116自治体が転換の意向を示しました。人口減少と施設の老朽化が背景にありますが、設置費用の確保などの課題も指摘されています。

内容

転換を検討する自治体が1年で増加

生活排水の処理には、下水管や処理場でまとめて処理する「集合処理」と、家庭ごとに置いた浄化槽で処理する「個別処理」があります。読売新聞によると、集合処理を見直して個別処理へ移ることを検討する自治体が増えています。

総務省・国土交通省・農林水産省・環境省の4省が昨年7月に合同で行った調査では、切り替えの意向を示したのは28道府県の97自治体でした。今年8月の調査ではこれが32都道府県の116自治体に増えています。多かったのは福島県(14自治体)、北海道(10自治体)、岩手県・静岡県・長野県(各7自治体)です。こうした流れを受け、政府は今年7月に下水道法を改正し、下水道事業をやめる際の手続きなどを定めて個別処理へ移りやすくしました。

なぜ下水道を続けないのか

集合処理は、利用者が払う使用料で経費をまかなう独立採算が原則です。各自治体は人口が増え、市街地が広がることを前提に施設を整えてきましたが、人口が急に減ると利用者が少なくなり、残った住民一人ひとりの負担が重くなります。施設の老朽化も進んでおり、下水管の傷みが原因とみられる道路の陥没も各地で起きています。

具体的な数字が分かるのが、静岡県南伊豆町の入間地区です。地区の処理施設は1986年の建設で、約1000人分の排水を処理できる規模でした。改修が必要になった2018年ごろには、人口が建設当時の6割にあたる161人まで減っていました。集合処理を続けるには約1億4000万円の改修費がかかり、住民が払う年約5万円の使用料は、人口が100人になれば少なくとも1.5倍になると見込まれていました。

家庭では何が変わり、費用は誰が負担したのか

町は住民と話し合ったうえで施設の廃止を決め、2023年に各戸の浄化槽による処理へ移りました。環境省によると全国で初めての事例です。家庭や公共施設に計68基の浄化槽を設け、費用は約1億5000万円でした。財源には、返済額の7割を国が負担する過疎対策事業債を使っています。

切り替え後、住民は下水の使用料を払わなくなった一方、浄化槽の維持管理費として年約4万円(5人用で年1回くみ取りをした場合)を負担しています。地元の区長は、早めに切り替えたことを前向きに評価しています。

ほかの自治体の動き

石川県珠洲市は、2024年1月の能登半島地震で被害を受けた一部の地域について、下水道を元に戻すのはあきらめ、浄化槽で処理する道を選びました。今年度から各戸での工事が進んでいます。徳島県小松島市は、まだ下水道がない地域のうち481ヘクタールで整備する計画を持っていましたが、これを改めて浄化槽で処理する方針にしました。

残る課題

南伊豆町は町全体を個別処理にしたい考えですが、全住民分の浄化槽を設けるには、町の一般会計予算と同じ規模の約50億円を超える費用がかかるといいます。担当者は国からの支援の上積みが必要だとしています。このほか、浄化後の水を流す経路の確保、使わなくなった下水管の撤去、浄化槽の点検を適切に続ける仕組みづくりも課題に挙がっています。

国の検討会で委員長を務める近畿大の浦上拓也教授は、集合処理を続ける地域と個別処理に移る地域の組み合わせを探るべきだとしたうえで、転換費用や財源、地域の線引きの基準を示す指針を国が急いでつくるよう求めています。

浄化槽では微生物が排水の汚れを分解し、処理後の水は川や海へ流されます。ただ、下水道と比べた水質や環境への影響がどうなるのかは、現時点で明らかになっていません。

出典:読売新聞オンライン(@Yomiuri_Online)(X)

注目ポイント

下水道は多くの家庭が毎日使う身近なインフラで、これまで当たり前だった「下水道を広げる」という方針そのものが見直されている点に関心が集まっています。各地で水道料金や下水道使用料の値上げも相次いでおり、自分の住む地域でどちらの方式が選ばれるのか、負担がどう変わるのかが今後の焦点です。国が費用や地域の線引きについてどのような指針を示すかも注目されます。

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