トップ > 社会
社会原潜導入の「調査・研究」明記を検討、目的定まらず議論に曲折も

内容
何が検討されているのか
政府は、年内に改定する予定の安全保障関連3文書に、原子力潜水艦(原潜)の導入について「調査・研究する」と明記することを検討しています。時事通信が報じました。導入を決めるのではなく、調査・研究の対象として文書に位置づけるかどうかが焦点です。政府は与党との調整を近く本格化させる方針です。
なぜ今議論になっているのか
背景には、中国海軍が西太平洋など遠洋への進出を加速させていることがあると報じられています。そのうえで、議論を後押ししているのは政治側の意向です。関係者によると、原潜導入を決めたオーストラリアや韓国を念頭に、小泉進次郎防衛相は就任当初から導入に意欲を示してきました。日本維新の会も6月に「早急に導入すべきだ」と提言しており、自民党内にも調査・研究であれば明記を容認する声があります。
小泉防衛相は9日の記者会見で、原潜保有について議論の必要性は国民も理解するところではないかと述べました。原潜は通常動力型の潜水艦に比べて長時間潜り続けることができ、速度も出せるのが特徴です。小泉氏は、乗組員の安全をより高いレベルで確保しながら活動できる点を強調しました。
反撃か哨戒か、目的は定まっていない
一方で、原潜を導入した場合に何に使うのかについて、政府内の認識はそろっていません。潜水艦の主な用途は「哨戒」と「打撃」の二つです。
- 哨戒を重視する見方:自衛隊幹部は、近海でしか活動できない通常動力型ではグアム周辺まで索敵するのは難しいとして、原潜の利点を挙げています。
- 打撃を重視する見方:防衛省幹部の一人は、反撃能力(敵基地攻撃能力)を担う長射程ミサイルを搭載すれば、普段は海中に潜み、有事に敵の司令部を攻撃する運用ができると説明しています。
政府関係者からは、全くコンセンサスができていないとの声が出ています。朝日新聞も、政府内に慎重論があると伝えています。
課題と周辺国の受け止め
原潜には兆円単位とも言われる建造費がかかるほか、原子炉に関する専門知識が必要になります。原子力の平和利用を掲げる原子力基本法との整合性も課題です。自民党内には、すべてに問題があり調査・研究しても無駄だとする声もあり、3文書への書き方をめぐる調整は難航する可能性があります。
国外では、中国の国営メディアCGTNが、日本の原潜導入の動きはアジア太平洋地域の平和と安定を脅かすとする各国有識者の見方を伝えています。国内でも、山梨日日新聞が社説で「被爆国がとる道ではない」と論じています。原潜を持った場合に日本の安全保障がどう変わるのかについては、目的が定まっていないこともあり、現時点で明らかになっていません。
注目ポイント
巨額の費用がかかる装備でありながら、用途が決まらないまま文書への明記が検討されている点に関心が集まっています。調査・研究という表現にとどめることで与党内の合意が得られるのか、それとも反対論によって書きぶりが変わるのかが、年内の改定に向けた焦点です。被爆国として原子力をどう扱うのかという論点も、議論の行方を左右しそうです。
ネットでの反応
SNSでは、目的がはっきりしないまま導入が論じられていることへの疑問が多く見られます。数兆円とされる費用について、自衛隊員の待遇改善など人手不足への対応に回すべきだという声や、そもそも財源があるのかを問う声も上がっています。
防衛力の強化には理解を示しつつ、原潜が必要だというのであれば具体的な理由を国民に示すべきだという意見もあります。また、中国側の主張に口実を与えかねないと懸念する声や、核武装の議論につながることを警戒する投稿も見られます。
一方で、用途を一つに絞らず汎用性を持たせる考え方もあるのではないかという声や、相手国が持つ可能性を踏まえれば自国で運用する場合の検討は早めにしておくべきだという意見もあります。報道が「反撃か哨戒か」という用途の違いを論点としているのに対し、ネット上では費用や優先順位、核をめぐる懸念にまで関心が広がっています。
参考記事
- 「原潜導入論」政治主導 反撃か哨戒か、目的定まらず―3文書改定へ議論曲折も:時事ドットコム 2026年10月12日 08:17
今話題の記事
ランキング登場履歴
| 2026年10月12日 18時 | 14位 |
| 2026年10月12日 15時 | 17位 |
| 2026年10月12日 14時 | 20位 |
この記事の内容に誤りを見つけた方は 情報の誤りを報告 からお知らせください。