トップ > テクノロジー
テクノロジー大腸がんの約半数に腸内細菌の毒素が関与 日本人200人を全ゲノム解析

内容
誰が、どのような研究を行ったのですか
東京大学医科学研究所、大阪大学、国立がん研究センター、東京科学大学の研究者らが、科学誌「Nature Genetics」に論文を発表しました。日本人の大腸がん患者200人を対象に、がんの遺伝情報をすべて調べる全ゲノム解析を行いました。あわせて、腸内細菌のデータをAIで解析しています。この研究成果は、2026年8月にも日本経済新聞や朝日新聞、毎日新聞などが報じていました。
腸内細菌の「毒素」とは何ですか
一部の特殊な大腸菌が作る「コリバクチン」という毒素です。この毒素は細胞のDNAを傷つけ、変異シグネチャーと呼ばれる特徴的な痕跡を残します。解析の結果、高変異型を除いた症例の44.8%で、この痕跡が確認されました。先行研究では、欧米を含む他国での割合は5〜20%ほどとされており、日本人では割合が高いことになります。
大腸がんとはどのようにつながっているのですか
毒素による傷は、APC、BRAF、TP53といった、がんの発生に深く関わるドライバー遺伝子にまで及んでいました。ある症例では、発がんのきっかけとなるAPCの最初の異常が、10歳未満の幼少期にすでに起きていた可能性が示されています。子どもの頃から腸にいる細菌が、数十年かけてDNAを傷つけ続け、最終的にがんにつながっている可能性があるということです。
「40歳以下の発症は7割」とは何の割合ですか
21歳から40歳で大腸がんを発症した人のうち、コリバクチンによるDNAの傷の痕跡が見つかった人の割合です。10人中7人に当たります。また、この毒素による変異は1965年以降に生まれた世代で多く見られました。研究チームは、若い世代で大腸がんが増えていることと関係している可能性があるとしています。ただし、なぜ若い世代で毒素を作る菌の影響が大きいのか、その原因は現時点で明らかになっていません。
ほかに分かったことはありますか
腸内細菌のAI解析から、大腸がんは4つのグループに分けられることが分かりました。コリバクチンが原因のタイプは、これまで注目されてきたフソバクテリウムなどの細菌によるタイプとは別の経路でがんになることが示唆されています。
予防や治療にどう役立つのですか
時事ドットコムの報道によると、研究チームは除菌などによる予防法の実現を目指しているということです。具体的な予防法や治療法、実用化の時期については、現時点で明らかになっていません。
注目ポイント
大腸がんは日本人ががんと診断される部位の中で最も多いとされており、その約半数に関わる原因が示されたことで、関心が広がっています。若い世代での発症が増えていることが伝えられるなか、40歳以下の7割に毒素の痕跡があったという結果は、多くの人にとって身近な問題です。発がんのきっかけが幼少期にまでさかのぼる可能性があるという点も、意外性をもって受け止められています。今後は、除菌などの予防法がどこまで実現できるかが焦点です。
ネットでの反応
ネット上では、子どもの頃から腸にいる菌が数十年かけてがんにつながるという点に「避けようがなくて怖い」と不安を口にする声が目立ちます。他国の5〜20%と比べて日本人の割合が高いことに注目する人や、AIを使ってより大規模な解析ができるようになったことに関心を寄せる人もいます。一方で、長時間座る働き方やお酒での「消毒」を話題にする投稿もあります。こうした話題は、特定の腸内細菌が作る毒素に焦点を当てた今回の研究とは別の論点です。著名人の大腸がんによる死去と結び付けて、「もっと早く分かっていれば」と惜しむ声も見られます。
参考記事
- 日本人の大腸がん、約半数に“腸内細菌の毒素”が関与 40歳以下の発症は7割 東大・阪大が200人を全ゲノム解析 2026年10月10日 14:13
今話題の記事
ランキング登場履歴
この記事の内容に誤りを見つけた方は 情報の誤りを報告 からお知らせください。