1時間ごとに更新

いま話題のニュースを、1時間ごとにランキング!

トップ > テクノロジー

テクノロジー

川崎重工、ロボット中心の経営へ転換 4年で5500億円投資

川崎重工、ロボット中心の経営へ転換 4年で5500億円投資

川崎重工業が10月6日に中長期経営戦略を説明し、ロボット事業を成長の軸に据える方針を打ち出しました。造船や航空機をはじめ社内のあらゆる製造現場でAIを使ったロボット活用を進め、自社の生産性向上と外部への販売の両面で稼ぐ考えです。

内容

何が発表されたのか

川崎重工業は10月6日、羽田空港近くにあるロボット開発拠点で中長期経営戦略の説明会を開きました。今後4年間でロボット関連に5500億円を集中的に投資し、船舶・航空機など社内の全製造現場にフィジカルAIを導入する方針です。自社工場の生産性を引き上げるだけでなく、ロボットを社外にも販売して収益源にする「ロボ総合重工」を目指すとしています。

フィジカルAIは、報道ではロボットを通じて現場の作業にAIを生かす技術として扱われています。橋本康彦社長は説明会で、造船・防衛・航空のいずれもフィジカルAIで変わっていくという趣旨の考えを示しました。

公開されたロボット

会場では、ヒト型ロボット「Kaleido(カレイド)」がコンテナを運び、中身を仕分ける作業を実演しました。四足歩行の造船用ロボットは、鉄の壁面を登りながら溶接するデモを披露しています。熟練工不足を補い、溶接工程の生産性を2倍にできるとしています。このほか、高齢者の見守りなどを想定した犬型ロボットも初めて公開されました。

数値目標と投資計画

2031年3月期の連結売上高の目標は、26年3月期から約4割増の3兆3000億円に設定されました。従来の目標は3兆円超でした。事業利益率も10%超へ、4ポイント引き上げる計画です。

投資資金を確保するため、同社は7月に転換社債と公募増資で合わせて約2000億円を調達しています。公募増資は30年ぶりです。造船の主力拠点である坂出工場(香川県坂出市)には2035年までに1000億円を投じ、同工場の売上収益を約3倍の2000億円超に伸ばすとしています。

一方、世界的に脱炭素の動きが鈍り水素需要が伸び悩んでいることから、2030年の水素関連の事業規模目標は4000億円から2000億円に下方修正されました。

なぜいま転換するのか

川崎重工は1969年から産業用ロボットを手がけていますが、ロボット事業は社内で主流とはみなされず、26年3月期の売上収益は929億円で連結全体の4%にとどまります。2020年にはロボット部門出身として初めて橋本氏が社長に就任し、ロボット活用を地道に進めてきました。

同業の三菱重工業やIHIが事業の売却・整理を進めてきたのに対し、川崎重工は事業部の発言力が強く、構造改革は限定的でした。ところがフィジカルAIの進展で、多くの事業を抱えていることが、AI開発に必要な多様な現場データを自社で集められる強みに変わったと報じられています。26年5月には、現場データを求める米エヌビディアとの協業も決めました。熟練工の暗黙知をAIに取り込み、人手不足に対応する狙いもあります。

足元では防衛と造船が好調で、27年3月期の連結純利益は前期比6%増の1150億円と、3期連続で過去最高を見込んでいます。既存事業が堅調なうちに新技術への投資を急ぐ形です。

なお、事業ポートフォリオの見直しや組織体制が具体的にどう変わるかは、現時点で明らかになっていません。

出典:日本経済新聞 電子版(日経電子版)(@nikkei)(X)

注目ポイント

総合重工メーカーがロボットを成長の中心に置くのは、専業メーカーが多いロボット業界では珍しい動きです。同業他社が事業の絞り込みで評価を高めてきたなか、事業の幅広さを逆に強みとして打ち出した点に関心が集まっています。今後は、利益率10%超の目標で先行する三菱重工やIHIに追いつけるか、また縮小した水素事業の行方が焦点になります。

ネットでの反応

ネット上では、重工業の現場ではもともとロボットが多く使われており、実態は大きく変わらないのではないかと冷ややかに受け止める声が見られます。報道が強調した、外販で稼ぐことや社内データを生かすといった戦略の新しさよりも、「ロボット企業へ」という打ち出し方に反応が向かっている様子もうかがえます。また、同社のバイクにちなんで人型に変形する機体を望むような、冗談めかした投稿もあります。

参考記事

ランキング登場履歴

2026年10月7日 7時14位

この記事の内容に誤りを見つけた方は 情報の誤りを報告 からお知らせください。