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TCPはAI向けに不向き、名誉教授が新通信方式「Homa」への移行を提唱

TCPはAI向けに不向き、名誉教授が新通信方式「Homa」への移行を提唱

スタンフォード大学のジョン・オースターハウト名誉教授が、AI向けデータセンターの通信にはTCPが適していないとして、新しいトランスポートプロトコル「Homa」への移行を呼びかけています。短いメッセージを優先して届けることで遅延を抑える仕組みで、既存のTCPと並べて導入できるとされています。

内容

スタンフォード大学のジョン・オースターハウト名誉教授が、ウェブやクラウドで広く使われている通信プロトコル「TCP」はAI向けデータセンターの通信に向いていないと主張し、代わりにトランスポートプロトコル「Homa」を使うよう訴えています。オースターハウト氏は「重要なのはレイテンシーだ」と述べており、遅延がわずか1ミリ秒でも高価なGPUを待たせることにつながると指摘しています。

TCPの何が問題なのか

TCPは、相手にデータが届いたことを確かめながら、送った順番どおりにつながったデータとして扱う方式です。信頼性は高いものの、接続ごとに状態を管理する必要があります。データセンターでは近くにある多数のコンピューターが細かいやりとりを大量に行うため、こうした管理や順序の保証にかかる処理が通信時間の中で大きな比重を占めてしまいます。

AI向けの大規模クラスターでは、モデルの重みや勾配のような大きなデータと、KVキャッシュの検索やメタデータの調整のような小さなデータが同じネットワークを流れます。TCPには短いメッセージだけを先に通す仕組みがありません。また、混雑の調整は送信側が受信側からの応答を手掛かりに行うため、ほかの送信元も含めて受信側にどれだけ通信が集まっているかをつかみにくく、対応が後手に回りやすいとされています。

Homaの仕組み

Homaの研究は2018年に発表された論文にさかのぼり、短いメッセージの低遅延とネットワークの高い使用率を両立させることを目指して提案されました。主な特徴は次の3点です。

  • データを一続きの流れではなく「メッセージ」単位で扱います。別のコンピューターの処理を呼び出すRPCを前提としているため、送るデータの長さが最初から分かり、受信側はすぐに受け取り終えられるメッセージを優先できます。
  • 混雑の調整を受信側が主導します。受信側は届く予定のデータ量を見て、どの送信者がどれだけ送ってよいかを「GRANT」という通知で伝えます。1台のサーバーに通信が集中した場合でも、届く順番を整えやすくなります。
  • ネットワーク機器の優先度付きキューを使い、受信完了までの残りが少ない通信ほど優先度を上げます。大きなデータの後ろで小さなリクエストが待たされる時間を減らす狙いです。

どの程度速くなるのか

オースターハウト氏が示した比較では、帯域100Gbpsで回線の8割が使われている状態において、短いメッセージの遅延(99パーセンタイル値)はTCPが1.2ミリ秒、Homaが92マイクロ秒でした。Homaの遅延はTCPのおよそ13分の1にとどまったとされています。

いつ、どのくらいの費用で使えるのか

HomaはTCPと並行して導入できるとされており、Linuxカーネル上での実装に関する論文も公開されています。ただし、広く実用化される時期や、既存インフラに導入する際の費用・期間は現時点で明らかになっていません。

注目ポイント

GPUの稼働効率がAIの開発・運用コストに直結するなかで、通信のごく短い遅延が問題として取り上げられた点に関心が集まっています。TCPを置き換えるのではなく並べて使えるとされる点は、導入のハードルを考えるうえで焦点のひとつになっています。今後、実際のAIデータセンターでどこまで採用が進むかが注目されます。

ネットでの反応

ネット上では、TCPに代わる通信方式の提案はこれまでにも何度も出てきたものの普及しなかったとして、今回も慎重に見る声があります。一方で、研究にとどまらずLinuxへの実装や標準化にも取り組んでいるようだとして、今後の行方を見守る投稿も見られます。また、管理の行き届いたデータセンター内であればUDPなどで独自に工夫すればよいのではという受け止めや、そもそもAIデータセンターでTCPが使われているのかと疑問を投げかける声もあり、TCPの課題とHomaの設計を具体的に示した報道の論点とは、関心の向きに違いが出ています。

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2026年10月6日 13時13位
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